就職前・就職後のお悩みQ&A

就職前・就職後のお悩みQ&A

保育士登録について
保育士の登録制度ができたということを聞きました。
私の場合、20年以上前に専門学校を卒業して保育士の資格を取得しましたが、当時はそのような制度がありませんでした。必ず登録をしなければならないのでしょうか?
児童福祉法の改正に伴い、平成15(2003)年以降に保育士として働くためには、保育士登録を行い、「保育士証」の交付を受けることが必要となりました。
ただし、この手続きはあくまでも保育士として仕事をするための要件ですので、それ以外の場合は必ずしも登録をする必要はありません。また、登録をしなかったからといって、保育士の資格が消滅してしまうこともありませんので、ご安心ください。
なお、保育士証には有効期限がありませんので、一度登録を行っておけば、更新の手続きは不要です。
就職先の見つけ方
保育士の資格は持っていますが、実務経験は全くなく、自分に合った就職先が見つけられるか不安です。何かアドバイスがあれば教えてください。
ご承知のとおり、現在全国的に保育士不足の状態となっていることから、保育士の資格をお持ちということであれば、就職自体はさほど難しいことではないと思われます。
ただし、ご質問のように、ご自身の状況に合った勤務先となると、やはり迷われるのも無理はありませんね。
そこで、まずは、お住まいの自治体(都道府県・市区町村)の「保育士・保育所支援センター」に相談されることをお勧めします。経験豊富な専任のアドバイザーに対応してもらえるだけでなく、就職先の紹介を受けたり、研修・セミナーの情報なども入手しやすくなります。
また、人材サービス会社に登録することで、幅広い求人情報の中から、自分に合った勤務先を見つける方法もあります。自分一人の判断だけで就職先を決めるのではなく、人材サービスのプロの力を借りることで、よりスムーズに勤務を開始し、業務に専念しやすくなるというメリットもあります。ぜひご検討ください。
お給料について
長期間のブランクはありますが、保育士の資格と経験を活かして現場に復帰しようか迷っています。最近のお給料の水準はどのような状況でしょうか?
保育士の平均給与額ですが、月額で229,900円、賞与等を含めた年額で3,421,300円というデータが発表されています(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2017年))。
なお、これはあくまでも平均額ですので、勤務する地域や施設の運営状況、さらにご自身の経験年数や勤務日数、勤務時間などによっても大きく左右されることは言うまでもありません。
また、全産業の平均では、月額で304,300円、年額で4,322,000円となっていますので、こちらと比較すればやや低い水準ということができます。ただし、全国的な保育士不足の現状を反映して、保育士の給与は年々アップする傾向にあります。
さらに、潜在保育士の方に対する支援策も各自治体において実施されています。例えば、保育園への就職に必要な費用の貸付金制度(就職準備金貸付)や、保育料の一部貸付などが行われており、一定の条件により返還も免除されるなど、かなり手厚いフォローを受けることができます。直接的なお給料というわけではありませんが、利用可能な制度を活用されることも有益かと思われますので、検討されてみてはいかがでしょうか。
「処遇改善手当」とは?
「処遇改善手当」とは、どのようなものでしょうか? また、就職したら誰でももらえるのでしょうか?
中堅クラスの保育士の処遇(給料等)を改善するため、国から保育園に対して支給される補助金に、「保育士処遇改善等加算」として、キャリアアップにより所定の要件を満たした対象者ごとに、毎月一定額を加算する制度が、平成29(2017)年度から実施されています。
◆ 保育士処遇改善等加算の支給基準
職務区分 経験年数 キャリアアップ研修の受講 加算額
副主任保育士 おおむね7年以上 4分野以上・60時間以上 4万円/月
中核/専門リーダー
職務分野別リーダー おおむね3年以上 1分野以上・15時間以上 5千円/月
(注)研修分野:①乳児保育、②幼児教育、③障害児保育、④食育・アレルギー、⑤保健衛生・安全対策、⑥保護者支援・子育て支援、
 ⑦保育実践、⑧マネジメント(副主任保育士は必須)
そして、この補助金制度に基づき、勤務する保育園から該当者に対して間接的な形で支給される手当が、「処遇改善手当」ということになります。
よって、処遇改善手当を受給するためには、上記の基準要件を満たしていることが必要です。保育園に就職すれば当然に手当がもらえるということではありませんので、ご注意ください。
英語も必要?
最近の保育園や幼稚園では、英語教育に力を入れている所があると耳にします。現場で業務を行うためには、やはり英語力も必要なのでしょうか?
確かに、都市部を中心として、英語を重視している園も少しずつ増えているようです。また、一般論として、語学教育は幼児期からスタートすることが効果的であるとする指摘もあります。
ただし、どの程度早い時期から英語などの外国語に親しませるかは、園の教育方針や、保護者の方の考え方による部分が大きく、一概にこうでなければならないということはできません。
よって、英語力が全くないよりは少しでもあるのに越したことはないでしょうが、保育士の業務において英語力が大きく影響するという場面は、一般的には極めて少ないのではないかと考えられます。
「保育教諭」って何?
「保育教諭」という言葉を聞いたことがありますが、どのようなものでしょうか?
また、保育士とは別に、新たに資格の取得が必要なのでしょうか?
「子ども・子育て支援新制度」の一環として、平成27(2015)年から「幼保連携型認定こども園」が設置できることとなりました。この施設で働く保育職員として配置されるのが「保育教諭」です。
このように、保育教諭はあくまでも「職名」であって、保育教諭という新しい資格が創設されたわけではありません。
ただし、幼保連携型認定こども園で保育教諭として働くためには、保育士と幼稚園教諭、両方の資格を持っていることが必要となります。よって、保育士または幼稚園教諭、いずれかの資格しか持っていない場合は、もう一方の資格を取得することになりますが、このようなケースでは特例措置が設けられており、資格取得がしやすいように配慮されています。
なお、保育園または幼稚園、いずれかの施設のみで働く場合は、従来どおりの取扱いですので、それぞれどちらかの資格を持っていれば問題はありません。